ジョニーは戦場へ行った

1684942148_maxresdefault-1458900-3438201-jpg 記録



かつて反戦映画百選の編纂をした時に個人的にトップに挙げた映画である。

共産主義者は才能がある人が多いのか、才能のある人が共産主義を好むのか・・・

どちらが正解であるかは別にして、この事は若い頃の私の疑問であった。
高校時代に担任の先生にそのまま質問をしてみた事がある「それが本当なら俺も共産主義になろうかな」と返され、二人して笑った事を思い出す。 

私はといえば、「誰も教えてくれない組織」の意味が知りたくてあらゆる宗教や思想の入信授業を受けに行った頃である。
創価学会や統一教会、真光から踊る宗教まで三ヶ月近くを費やして教義を体験した事は私の宗教観・道徳観に多大な影響を及ぼしたと思う。
その事は後日、別の内容で詳しく書く事として、今回はその中で共産主義についてである。

危険な思想ではあるが、この思想の文化人や芸術家が多いのも事実である。
勿論、現在の自称文化人や芸術家の話ではない。 
本当の才人・映画関係者らしく映画の人・「ダルトン・トランボ」の話しである。

ハリウッドの赤狩りによって追放された彼は偽名を使い多くのヒット作の脚本を手がけている。「素晴らしき哉、人生」「ローマの休日」「スパルタカス」「いそしぎ」「パピヨン」など名作が目白押しだ。 
彼の死後、1993年に「ローマの休日」でのオスカー像が遺族に渡された事がニュースになった事を記憶している。

そのダルトンが唯一監督した作品がある、それは 「ジョニーは戦場へ行った」 である。

とんでもない作品だ、トラウマになる。
主題曲の「虹と共に消えた恋」は当時ベトナム戦争の反戦歌としてPPMの歌で流行り、私も歌っていた記憶がある。
訳も分からずシューア、シューア、シューアロー、と発音していたが元はゲール語(アイルランド語)らしい。
戦争で愛する人を奪われた娘達の事を歌ったものらしく、アメリカでも独立戦争の時に歌われていた様だ。

数ある映画の中で最も見るべき作品であり、最もお薦めしない作品でもある。
迫害を受けたコミュニストがその能力の全てを注いだ渾身の一作。
この映画の後では、いかなる反戦映画も存在価値が無いと思わせるほどの作品だ。
「共産主義者は才能がある」と私に思い込ませた作品である。

勿論それはダルトンの才能に過ぎないのだが、その時はそう思ったのである。

残念ながらその後、そう思わせてくれる映画も本も人物も現れない。
担任の先生の言った様に単なる私の幻想だったのかもしれない。

Comments

Copied title and URL